医務室を出て隣の部屋の戸を開けると、新野先生と伊作先輩が待っていたように微笑みかけてきた。
「落ち着いかい?」
「はい。…すみません、煩かったですよね」
「構いませんよ。では約束です。ご案内しましょう」
「はい。お願いします」

 新野先生達に案内された場所、それは先生の居室の奥にある開かずの間だった。
 保健委員会第二会議室の看板は見覚えがあった。
「この落書きは君かい?」
 伊作先輩が『鉢屋参上』の字を指差した。
 なんでこんな事書いちゃったんだろう。僕は気恥ずかしくなって俯きながら頷く。
 そしてその戸の前に立つと、新野先生は僕を見て口を開いた。
「ここは開かずの間なんかでは無いんです。伝染病が流行った時に生徒達を隔離する為の部屋なんですよ。鍵も私が持っていました」
 ゆっくりと戸が開かれる。その先は短い廊下になっていた。恐らく病原体が広がるのを防ぐ為の構図だろう。
 そして、向こうの戸の前で乱太郎と伏木蔵が膝を抱えて座っていた。眠っているのだろうか、こちらに気付いていないようだ。
「雷蔵君、これを…」
 伊作先輩が僕に重湯の入った器を渡して来た。
「彼はもう固形物を食べられないから、多分重湯も拒否するだろうけど、君が相手ならもしかしたらって思って…」
「……」
「伊作君。私達は隣の部屋に行きましょう。薬を作るので手伝って下さい」
「はい。じゃあ、雷蔵君…」
「はい」
 頷き合い、新野先生と伊作先輩は隣の部屋へ入っていった。
 そして僕は、恐らく三郎がいるであさろう方向へ目を向ける。
 乱太郎と伏木蔵が戸の前で入り口を塞ぐようにいるのは、恐らく何かの間違いで此処に来た生徒を追い返す為だろう。
 僕はそっと彼らに近付くと、二人の肩を軽く揺すった。
「乱太郎、伏木蔵…」
「ん…雷蔵、先輩?」
 二人は少し寝ぼけたように顔を上げたが、僕の顔を見た途端に驚きに目を見開いた。
「雷蔵先輩!だ、駄目ですよ此処に来たら!!」
「そうです!私達の不運が感染ってしまいますよ!……あ!」
 背後にある戸を守るように二人は立ち上がったが、僕が持ってる重湯を見ると、二人は直ぐに悟ってくれたようだ。
「雷蔵先輩…」
「ゴメンね。三郎に、会わせてくれないかな?」
 久し振りに精一杯の笑顔を造ってそう言うと、二人はわっと泣き出して僕に抱き付いて来た。
「ごめんなさい雷蔵先輩!今まで、ずっと黙ってて…!」
「良いよ。君達も、今まで頑張ってくれたんだろ?」
「先輩っ…早く、鉢屋先輩に会ってあげて下さいッ!」
「わかったから…ほら、泣きやんで」
 二人は、うん、と小さく頷くと涙を拭きながら戸の前から離れた。
 もう、僕と三郎を隔てるのは、目の前の引き戸のみ。
 胸がザワザワとざわつく。不安と期待が入り交じるが、この先に三郎がいるのは確かなんだ。
 大きく深呼吸をし、僕はゆっくりその戸を開けた。

 広さは六畳ぐらいだろうか。その部屋の中心に三郎はいた。
 布団に身体を横たえさせ、静かに眠っている。
 僕は後ろ手で戸を閉めると、彼の傍らに座った。
 一旦器を床に置くと、早く元気になって下さいと書かれた紙が目に付いた。恐らく乱太郎達が書いたものだろう。その上に四つ葉のシロツメグサを何本も並べられていた。
 三郎の顔は、目元と口を避けるように幾重にも包帯が巻かれていた。輪郭も髪も、全て僕が最後に見た彼とは違う。恐らく、包帯の下には素顔が眠っているのだろう。
 呼吸が安定していない。時々苦しそうに息を詰めては喘いでいる。その様子に僕まで息が詰まりそうだ
 布団の端から小さくはみ出した手に取る。これが本当に人の体温なんだろうか、と思う程に冷たく感じるのは、僕が今まで温かな器を持っていたからと信じたい。
 その冷たさに一瞬ゾッとしたが、手を離そうとしたらキュッと力無くとも握り返してきたから、嬉しくなって繋いだ手はそのままにした。
「…ぅ……」
 三郎の瞼が揺れる。起こしてしまっただろうか。
 僕はそっと彼の顔を覗くと優しく声を掛けた。
「…三郎」
「………」
 三郎の口が開いた。微かに漏らすような声を聞き逃す事の無いように耳を澄す。
「…らい、ぞ…」
「ん?」
「…ごめ、ん…なさ……ごめ…」
「!」
 うわ言のように謝罪を繰り返す三郎。それは悪戯の件を言っているのだろうか。それとも、黙って僕の前から居なくなったからか。
 どちらにしろ、僕は全てを許していた。
「三郎…謝るなよ。お前だって、今まで頑張ったんだろう。もう…何も気に病むな」
「……!」
 三郎の表情が変わった。殆ど包帯で隠れて見えないが、変わったと感じた。
 僅かに手を握る力が強まる。僕の手の感触を確かめるように。
「雷蔵…何処…?」
「僕は此処にいるよ。お前の目の前…」
「……」
「目を閉じてるからわからないんだろう?ほら、目を開けて…」
 囁くように促すと、三郎はゆっくり目を開いた。
 その視線は一瞬空を彷徨うが、直ぐに僕の方へと向けられた。
「っ…雷、蔵」
「な?わかっただろ。…僕は、此処にいるから…っ」
 三郎が僕を見てる。僕も三郎を見る。
 長い時間だった。漸く、漸く叶った再会。
 嬉しさでふいに涙が流れた。
 嗚呼、泣くのはもう少し我慢したかったのに。でも、先程も泣いた所為で感情が昇ぶりやすくなっているのは仕方無い。
「雷蔵…」
「ッ…へへっ、涙…止まんないやっ…」
「…本当に…雷蔵、なのか…?」
「そうだよ。…僕の顔、忘れたかい…?」
 拭っても拭っても後から涙が溢れる。よく枯れないなと自分で感心を覚えるぐらいだ。
「雷蔵」
 また三郎が僕を呼ぶ。もう何度目だろう。でも、僕の名前を呼んでくれて、ここまで嬉しかった事はあっただろうか。
「な、に?三郎…」
「雷蔵の顔…近くで、見たい…。起こして…」
「ん、わかった」
 繋いだ手を一旦解き三郎の背と首の後ろに手を回す。
 三郎の身体は、こんなにも軽かっただろうか。そんな疑問が過ぎるが、構わず僕は三郎の身体を起した。
「よいしょっと…大丈夫?」
 力の入り切らない三郎の身体を支えながら顔を覗き込む。
 すると三郎は何も言わず僕の顔に手を添えた。
 そして輪郭や感触を確かめるように顔に触れてくる。
 なすがままにしてると、三郎の指先が涙の跡をなぞった。彼の指が僕の涙で少し濡れる。
 それと同時、三郎の双眼からもポロリと涙が零れ落ちた。
「夢でも…幻でも、ない…」
「うん」
「本物だ…ッ…雷蔵…雷蔵ッ!」
 ギュッと抱き締められる。
 そのあまりにも弱々しい力が切なくて、僕からも強く抱き返した。
「もう…会えないと…思ってた…ッ」
「うん」
「…ッ、会いたかった…謝りたかった…ごめんっ、雷蔵…!」
「…、…そんなに後悔するぐらいなら、悪戯とかしなきゃ良かったんだよ…」
「だって…嫌われたままなら…俺に何かあった時に、雷蔵が悲しまなくて済むだろう?」
「バーカ。あれぐらいの悪戯で、嫌いになりきれる訳無いだろう」
「んっ……」
「僕だって、後悔したんだ。あの日、三郎を部屋から追い出したりしなかったら、こんな事にならなかったかもって…。僕の方こそ、ごめんね」
 互いに、嗚咽交じりに言葉を交わす。ずっと言えなかった言葉、ずっと言いたかった言葉を。
「雷蔵…」
 三郎の顔が近付く。要求を悟った僕はニコリと微笑みながら目を閉じた。
 間も無く重ねられる唇。少しだけ舌を交えながら久々の口付けに酔い痴れる。
 彼の口内は、少し鉄の味がした。
 ややあって三郎の口が離れる。息苦しいのか、少し呼吸が荒くなったがとても満足した顔をしていた。
 そして三郎は再び僕の身体に身を預ける。
「…雷蔵」
「なに?」
「ずっとこうしていたい…」
「うん、今夜は一緒にいてあげるから」
「明日は?」
「授業が終わったらな」
「………」
「そんな残念そうな顔するなよ。終わったら直ぐに来るから」
「…約束」
「するよ。その代わり、僕の前では絶対「死にたい」なんて言わせないからな」
「……うん」
 三郎が安らいだ表情を見せる。彼にとって僕の傍は特別な場所だと言っていたのを思い出し、自分の体温を分け与えるように更に大きく包むように抱き締めた。
「………そうだ。重湯持って来たんだけど、飲めるか?」
「雷蔵が手伝ってくれるなら…頑張る」
「ふふ、仕方無いなぁ」
 子どもをあやすように三郎の頭を撫でながら、僕は少し冷めかけた重湯に手を伸ばした。





 それから僕は、毎日のように三郎の所へ訪室した。
 毒が回り切るのは半月。三郎はもうその時を超えている。
 薬草でいくらか抑えているとは言え、油断出来ない時が続いた。
 時々酷く苦しむ時もあった。僕の前で血を吐く事もあったけど、それでも僕は彼の所へ通い続けた。
 三郎に会いに行く前に、僕は必ず日誌を確認していた。
 ほぼ交換日記になってしまったそれには、僕が居ない時の三郎が事細かに書かれていたからだ。
 今日どれだけ食事したか、薬は効いているか、症状はどんなものか。それらを知るのも日課となった。

 そんなある日、嬉しい事が立て続けに起こった。
 一つ目は、問題となった二つの城から三郎宛に礼状が来た事。
 この二つの城は正式に同盟を結び、三郎を襲った反逆組織もほぼ壊滅状態となったらしい。
 その裏では、学園長先生の活躍が有ったとか無かったとか噂が広まったが、真相は定かではない。
 二つ目は、三郎が行なった半月の任務が実習と言う扱いになったらしい。それも最高の成績で。
 かれこれ一か月以上授業が出来なかった分、三郎の今学期の出席日数の不足がかなり危ぶまれていたけど、これでもうその心配は無いようだ。
 そして三つ目、これが一番嬉しかった出来事。
 三郎の体調が、少しずつではあるが、回復傾向にあると言う事だ。
 僕が三郎に会う前日に買った薬草が、三郎の毒に効いたらしい。薬が完成したのだ。
 順調にいけば、再来週には教科の授業に出席出来るとの事だ。
 日を追う毎に元気になっていく三郎を見るのはとても嬉しい事だった。

 やがて喀血する事もなくなり、食事も粥程度なら摂取出来るようになった頃、三郎は僕に変装セットを取りに行くように頼んだ。
 部屋から持って来たそれを三郎に与えると、彼はとても喜んで変装に取り掛かった。
「あ〜、やっぱりこの顔が一番落ち着く」
「そんなに僕の顔って落ち着くものなの?」
「当たり前だろ。私はこの顔が一番好きなんだから」
 何の恥ずかしげも無くそう言い放つものだから、僕は顔に全身の血が集中するのを感じた。
「雷蔵、顔真っ赤だぞ。照れてるのか?」
「うるさい!」
「あはは、雷蔵は可愛いなぁ!」
 突然飛び付くように抱き付いてきたから、僕は勢いに抗えずそのまま倒れた。
「うわっ!いきなり抱き付くなッ!」
「雷蔵、私が元気になって嬉しいか?」
「え?そりゃ嬉しいに決まってるけど…」
「なら元気な私を存分に味わえ」
「それとこれとは違うだろ!てか重いから退けよ」
 ジタバタと暴れる僕と、それを見て微笑む三郎。
 その時、ノックも無くガラリと戸が開いた。
「あ」
「あ」
 三郎と僕の声が重なる。そこには新野先生が立っていた。
「せ、先生!あ、こ、これはその、違うんです!てか三郎早く退け!」
 グイッと三郎の顎を掴んで引き離すと、彼は「あでっ!」と情けない声を上げた。
「いえいえ、構いませんよ。仲が良いのは宜しいですよ。鉢屋君も元気になって何よりです」
 そう言って先生は僕達の隣に座った。
 これだけ密着してる僕達を見て眉一つ動かさないとは、流石先生と言うか。
「鉢屋君、それだけ元気ならば長屋に戻りましょう。日常生活に身体を慣らさないといけませんしね」
「え、良いんですか?」
「はい。もう私達が心配する程体調を崩す事もありませんし、薬も食事と一緒に渡すように食堂のおばちゃんに頼みましたから。くれぐれも無理だけはしないように」
「やったな三郎!」
「ああ!」
 三郎が部屋に帰ってくる。また「おはよう」で始まり「おやすみ」で終わる日々が来るのだ。
 少し前まではそれが当たり前だったのに、今ではそれが夢のように嬉しく感じた。

「んん〜!なんか久し振りに家に帰ってきた気分!」
 久々に部屋に戻った三郎は、僕が敷いた布団の上で大きく伸びをした。
「しかし意外だな。一か月近く寝たきりだったのに、三郎普通に歩けたって」
「あぁ、先生や保健委員が居ない間にちょくちょく筋トレしてたからな」
「成程、それであの痩せた腕が元に戻っていたのか」
「でも流石に身体鈍りに鈍りまくってるけどな」
 そう言って三郎は仰向けのまま拳を天に突出した。
 その手にそっと触れる。あの時冷たかった手は、ちゃんと血の通ったぬくもりを僕の手に伝えてきた。
 その手首を耳に当てれば、確かな鼓動が鼓膜を震わせた。
 ああ、今確かに三郎は生きているんだと改めて確かめる。
「こら、勝手に心音聞くな」
「良いだろ。少しぐらい」
「……まぁ、少しだけならな。雷蔵は私の命の恩人だから」
「はあ?命の恩人は保健委員会の皆だろ?」
「それもあるけど、一番は雷蔵だよ。あの日、舌を噛み切る予定だったからな」
「え?」
 少し驚いて、僕は三郎を見た。
 そしたら三郎は、ははっと笑った。
「冗談だよ。でも、正直精神的にヤバかったんだよあの時。辛くて苦しくて…。でも保健委員達には弱い自分を晒せない。だから、雷蔵が来てくれて本当に救われたんだよ、私は」
「三郎…」
 そこまで三郎に特別扱いされると、なんだか嬉しくなってくる。
 特にプライドの高い三郎の事だから尚更だ。
「三郎、僕も三郎に会えて良かった。もしあの後三郎が死んでたら、きっと僕は一生笑う事も泣く事も出来ず過ごしてたよ」
「そうか…。私達はお互いがいないと駄目だな。依存しまくってる」
「別に良いんじゃない?これからも僕達ずっと一緒だろ?」
「はは、違いない」
「えへへっ」
 二人、同じ顔で笑い合う。穏やかな時間が流れた。
 僕達は二人で一つ。一年生の時から、ずっとそうだったんだから。
「雷蔵」
「なんだい?」
「ちょっと喉が渇いた。水かお茶貰ってきてくれないか?」
「うん、わかった」
 甘えてくる三郎が、なんだか可愛く思えて、つい我儘をきいてしまう。
 僕はそっと手を離すと、部屋を出て食堂へ向かった。

 湯飲みと急須を乗せた盆を持って部屋に戻る。
「三郎、お待たせ………あれ?」
 さっきまで三郎が居た場所、そこには誰もおらず、ただ敷かれた布団だけがそこにあった。
「…厠かな?ま、直ぐ戻ってくるよな」
 そう呟き、僕は床に盆を置く。
 その時、バタバタと慌ただしい足音が近付いてきた。
「雷蔵!」
 勢い良く現れたのは兵助と八左ヱ門。
 二人共ただならぬ形相でこちらを見ていた。
「どうしたんだい?」
 問えば、二人は怒涛の勢いで話した。
「なあ!毒虫の籠の蓋開けっ放しにしたのお前じゃないよな!?毒虫が逃げ出して大変な事になってるんだ!」
「私の豆腐勝手につまみ食いしたのお前じゃないよな!?食後の楽しみにしてたのに!」
「ジュンコを丸結びしたのお前じゃないよな!?孫兵が泣いてたぞ!」
「焔硝蔵に火種を持った小松田さんを誘導させたのお前じゃないよな!?学園を爆破させる気か!?」
「え…え?」
 どれもこれも僕には見に覚えが全く無い。
 でも二人して真っ先に僕の所に来たと言う事は…。
 やられた!こんな悪戯するのは一人しかいない。まぁ、彼らしいと言えばらしいけど。
「…雷蔵、違うと言ってくれ」
「なぁ、頼むから…」
 途端に二人の語気が弱まる。
 ああそうか、この二人も僕に負けないぐらい彼の事を心配してたんだ。
 そして今も八左ヱ門達は彼の安否を知らない。
「……あれ?兵助に八。何やってんだ?」
 その時、偶然通りすがった一郎が僕の部屋を覗いた。
「あ、一郎」
「お前、なんか悪戯されたとか悪い目に遭ったりしなかったか!?」
「え?いや…つか保健委員会は大体不運だし、悪い目とかしょっちゅうだぜ」
「あ…そうか」
「それよりさ、さっき向こうで焔硝蔵から出て来た伊助と毒虫探してる虎若が顔面衝突して鼻血だしてたぞ。早く行ってやれよ」
「マジ!?」
「ぉ、おう、わかった」
 と、二人は部屋を出ようと駆け出す。が、その足は直ぐに止まった。
「どうした?」
「待てよ……一郎は確か、血が見れない」
「そんな奴が、どうやって誰かが鼻血出してたかなんて分かる?」
 二人共、気付いたようだ。彼は一郎では無い事に。
 更に一押し、と僕も口を開く。
「しかも一郎は保健委員。鼻血出した人がいれば、委員会の先輩じゃなくて保健委員会、または新野先生に報告するのが妥当。そうだろ?三郎」
 兵助と八左ヱ門が彼を見る。
 一郎の仮面がはぎ取られると、僕の顔した三郎が現れた。
「雷蔵、先に答えを言うなよ。つまらないじゃないか」
「悪戯した罰にしたら軽いよ」
「と言う訳で、以上悪戯の犯人は鉢屋三郎でした」
 と、三郎は軽い口調で言い放つ。
 瞬間、兵助と八左ヱ門の顔が喜びに歪んだ。
「…三郎!」
「三郎!!」
 涙声で叫びながら、二人は三郎に抱き付いた。
 八左ヱ門も兵助も、少し諦めていた感があったから、余計に嬉しいんだろう。顔をクシャクシャにして泣いている。
 なんだか、僕まで貰い泣きしたくなってきた。
 そして僕は、三人を包むように更に上から彼らを抱き締める。
 そう言えば、まだ言ってなかった言葉があった。
 僕は兵助と八左ヱ門に合わせるように口を開いた。

「おかえり」
「あぁ、ただいま」

〜fin〜

〜〜あとがき〜〜

兎に角絶望の淵まで落として最後に救わせる話が書きたかったので書きました。
取り敢えず46巻の新キャラの委員会が分からないので捏造出来る内に捏造してしまえと思ってうpに踏み切りました。
保健委員会サイドも書かないと全ての複線は拭い切れないのですが、そちらは完結出来るかわからない…。多分46巻には間に合わない。
中途半端な作品で申し訳ないです;;;でも個人的に気に入ってる話です←

因みに題名と内容関係ないです。「華」の字が入ってるのは花言葉に因んだ題名にしようと思ったけど良い花が見つからなくてヤケクソになった名残です(ぇ)




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