■ S p r i n g n i g h t ■
一瞬、リネスは何が起きたのか分からなかった。
店を閉めて、丁度時同じくして仕事が終わった彼と一緒に帰路に付いていた時だった。
他愛の無い話、冗談混じりの笑い声、何もかも普通だった…だった筈だ。
突然彼は、彼女に顔を近付けたかと思うと、吸い付く様に唇を合わせてきたのだ。
「っ…ん…、…!」
逃げるように顔を背ける。簡単に唇は離れた。
しかし、彼はそのままリネスの右耳を甘く噛む。彼の髪がチクチクと滑らかな首筋を刺し、彼女は全身が粟立つのを感じた。
リネスはまだ混乱したままだ。何故彼がこのような場所で事に及んでいるのか。
「ちょ、ちょっとスマイル!…止めてちょうだい!」
「ヤダ」
スマイルと呼ばれた青年は即座にそう答えると、彼女の腰の辺りに手を伸ばし、服の下に侵入した。
かぁ、とリネスの表情に赤みが増す。
慌てて回りに人が居ないか確認した。場所は夜の公園。近道にとスマイルが案内した道だ。一応、自分の後ろには大きな木があり、背後から見られる心配は無い。しかし、前方に人が居ないわけでもない。
狼狽している内に、スマイルの手はスカートを潜り内股を這いだした。
「きゃっ!…ぁ…!」
その擽ったさに、リネスは短く悲鳴を上げる。
思わず大きな声を上げてしまい、彼女は再び辺りを伺った。
「ちょっと…!お願いだから止めて…!人が居るわ!」
「ボクは気にしない」
「私が気にするの!」
相変わらず耳元に舌を滑らせるスマイルの身体を離させようと懸命に押し返そうとするが、手が震えて上手く行かない。
彼女のその懸命な表情に、スマイルはニヤリと笑うと再度顔を近付けた。
「じゃあチューして」
「……したら止める?」
「やって♪」
ココだヨ、と、スマイルは自分の唇を指先で突付く。
キスぐらいなら、と思ったのか、リネスは軽く彼のそれと唇を重ねる、つもりだった。
「…ッ…ぅくッ!?」
触れ合った瞬間スマイルはリネスの頭を押さえ付けるようにし、深く口付けてきた。
舌が侵入し、ねっとりしたそれが彼女の上顎を撫でる。
今までフレンチキスをした事はあっても、ここまでディープなキスをした事は無かった。
呼吸すらままならず、呻き声を上げながら必死にスマイルの腕の中でもがく。
漸く解放されれば、リネスは息を荒げながら潤んだ瞳でスマイルを睨んだ。
「ヒヒッ♪リネスちゃんカワイイ♪」
「ふ、ふざけないでよ…!」
やや弱々しく、しかしはっきりと怒りを露にする。
その表情すら可愛らしく思えるのか、スマイルは内股にやっていた手を更に上へとずらした。
「…!やぁッ!」
彼の手が下着越しに軽く芯に触れたのか、ビリ、と来た感覚に、リネスは反射的にその手を押し退けた。
「…スマイル…!」
「ボクは『止める』なんて一言も言ってナイよ?第一、そんな可愛い顔されて止められる筈が無いし」
「ッ…!」
癇に障ったのか、リネスはくっ、と息を止めると身体の色を消した。
「あ、ヒドッ!そう言う事する!?」
見えなくなった彼女に問うが、返答は無い。
否、出来ないのだろう。いくら透明人間との混ざり者とは言え、彼女は種族上は吸血鬼。彼女が透明になっていられるのは、せいぜい息を止めてる間だけだろう。
「デモねリネスちゃん……透明になってるトコロ悪いんだけど、ボクには君がどうなってるのか凄い良く分かるんダヨね。…そうだネ、多分片手は息が漏れないように口を押さえてると思うんダ。もう片手は…さっきボク足の方触ってたから、そっちガード固くなっちゃってるよネ?だから…」
「…ッ!?」
スマイルが伸ばした手の先に、くにゃり、とした柔らかい乳房の感触が伝わる。
「やっぱり…こっちは無防備だった♪」
嬉しそうに言いながら器用に上着の上からブラをずらし、布一枚越しに突起に触れる。
その手を止めようとしても、彼女の両手は塞がっているのでどうしようもない。
「ね、イイコだから姿見せてヨ?」
突起をコロコロと転がすように愛撫され、ザワザワと子宮が騒ぐ。
軽く痛みを感じない程度に摘まれば、キュゥと胸を締め付けられるような切なさに襲われた。
「んっ…んンッ…!!」
押さえた口から、微かにぐもった声が漏れ出す。
限界が近いと悟ったスマイルは手探りで彼女の上着を捲り上げると、ペロリと自らの舌で彼女の見えない左胸を舐め上げた。
「ゃ、はぁッ…!!」
ぷはぁ、と勢い良く息が吐き出される。それと同時に、リネスの身体に色が戻った。
酸欠の所為か暫くガクガクと震えた後、ガクリとその場に座り込む。
「大丈夫かい?」
「…誰の所為よ」
「ヒヒッ、ゴメンってば」
口では謝罪するが、行動は全く反省しておらず、尚も胸を愛撫し続ける。
「だから…止めてって…!こんな所で…!」
「此処以外の場所だったらイイの?」
「バカっ!そう言う問題じゃないでしょ!!」
ゴン、とリネスの拳がスマイルの脳天を打つ。
大して強く殴った訳ではないが、スマイルは頭を押さえて「あたた…」と大袈裟に痛がる。
「そうじゃなくて…こう言う事するのは、もっと私達の関係が深まってからが良いの。まだお互いちゃんと理解してる訳じゃないし…まだ早いと思う…」
「もう充分だよ」
リネスの言葉を遮るように言われた言葉に、彼女は「え…?」と声を漏らす。
「ボク達さぁ、付き合ってからどんだけ経つ?もう2年ダヨ?確かに、お互い仕事してるから普通の恋人同士より会う機会は少ないけど、それでも1年あれば充分と思うんだ。でも敢えてボクは2年待った。それ以上結果を後伸ばしにしても同じだよ?リネスちゃん…」
「…ッ!」
彼らしくない、最もな意見に何も言えない。
確かに、結論を伸ばしているのは自分だ。何度か彼から行為を要求して来た事はあったが、それを全部断って来た。
「君は自分の半端な体質を気にし過ぎる所があるからね。でも、ボクはそれも認められる自信あるヨ?」
「……」
「それともボクが信じられないカイ?……まぁ、萎える話はこれぐらいにして、先ずはボクに全部任せてみなよ」
「…!…ゃッ!」
首筋を舐められ、リネスはビクリと肩を震わせる。
右手は胸を、左手は下半身を、それぞれ同時に愛撫される。
「ぃ、いや…!止めてょ…スマイル!」
いくら拒んでも、スマイルは愛撫の手を止めない。
目の前の、恋人である彼が、今は只の獣に見える。
愛しい気持ちより、恐怖が勝ってしまった。
「ゃ…止めてくれ!!」
「!?」
非力にスマイルの肩を押し返す腕に、突如力が増した。
ぐいっと凄い力で身体を剥がされ、スマイルは唖然とする。
いくら吸血鬼とは言え、『彼女』に此処までの『力』は無かった筈だ。
「…リネス…?」
尋ねるように声を掛ける。
その時、限りなく満月に近い月が、雲を割って彼女の姿を照らした。
「…あぁ…」
スマイルの目の前に居たのは、『彼女』では無かった。
萌黄色の髪とアメジストの瞳、服装は彼女と一緒だ。
だが、顔立ちは女性特有の丸みが無く、身体も全体的にやや大きくなり、緩やかに膨らんでいた胸は平になっていた。
つまり、目の前にいるのは、『彼女』ではなく『彼』だ。
スマイルは暫し驚いたように目を見開くが、やがて柔らかな微笑みを浮かべた。
「君がボクの目の前でその姿になるのは、初めてダネ。吸血鬼型の半陰陽、話には聞いてたケド、こんなに直ぐ変化するンだ…」
「…あまり、そう言う珍しいモノを見る目で僕を見ないで下さい」
いたたまれなくなり視線を反らすと、スマイルは「ゴメンゴメン」と笑いながら頭を下げた。
「へぇ…口調も変わるんだネ。でも何でいきなり男に?」
「身体と一緒に、精神も変化するらしい。女の身体には女の、男の身体には男の僕が居る。反射的に男になるのは女より男の方が強いから、襲われた時の防衛機能と言った所です」
「あぁ…そ、そうなんダ」
「分かったら少し僕から離れてくれませんか?」
「ナンで?」
スマイルが首を傾げて尋ねると、リネスは溜め息を吐いて答えた。
「気分を落ち着けます。恐怖が残ってると上手く女に戻れないし、この格好では道を歩けない。君も、男を抱く趣味は無いだろぅ、…ッ!」
スマイルは指でリネスの唇を押さえ、話を遮る。
彼の表情をみると、いつもの笑みがそこにあった。
「リネス…厄介な事にね、ボクは女の子を好きになったんじゃなくて、『君』を好きになっちゃったんだよね〜。君が男であろうと女であろうと関係ナイんだヨ」
「…!」
「一応、男の君の意見も聞こうか?君は、ボクが好きかい?」
「………」
リネスの中に、葛藤が生まれる。
これからも恋人で仲良く愛し合いたいと言う女の気持ちと、男としてのもう一つの気持ちが交錯する。
「…僕は…」
「ん」
「…僕は多分…『友達として』なら、君の事、好きになれる、と思う。…でも…『恋人』として、君を好きになるのは……」
「出来ない?」
「分からない、けど…多分」
顔を伏せ、途切れ途切れにそう言った。
暫く沈黙が支配したが、やがて「ハハハ…」とスマイルらしくない乾いた笑いが響いた。
「困ったネェ…ボク、半分フられちゃったカナ?」
「…スマイル?」
「女の君は、抱かれる事に抵抗があるみたいだし、あまりしつこいと男になるし…男の方が許してくれたら、君を抱く事が出来るかもって思ったんだけど…許してもらえる所かフられるし……ま、男だから当然と言えば当然ダケド」
「スマイル…!」
「あ、でも安定シテ。これからもリネスちゃんとボクは恋人続けるツモリだから。何も行為だけが恋愛じゃないからね」
「……ッ!」
悲しい、とリネスは思った。
何故悲しいと思うのかは彼は分からない。しかし、彼の中の『彼女』が懸命に悲しみを訴え掛けて来る。
中途半端な身体を持つ悔しさと、それを他人に打ち明ける恐怖、「認められる」と言ってくれたのにそれを信じきれなかった悔しさ、そして、彼を「拒絶」してしまった自分と「拒絶」をそのまま「拒絶」と捕えてしまった彼に対して…。
…違う。僕は…私はこんな結果を望んでない!!
「えーと、じゃあボクは向こうのベンチで待ってるから、女に戻ったらこっちにおいで…」
「待って!」
去ろうとするスマイルに、リネスは立ち上がって呼び止める。
「ん?」
「スマイル…確かに僕は男で、男に恋愛感情は持てないかもしれない。…でも」
「でも?」
「でも……と、友達以上、恋人未満なら…」
耳まで赤くして言う。
友達以上恋人未満、なんと中途半端で不安定な関係だろう。
しかし、それが彼が出した「答え」だ。
その回答に一瞬ポカンとしたスマイルだが、直ぐにその表情は笑いへと変化した。
「…ヒヒッ、ヒッヒッヒ!良いんだよリネス君。そんな、そんな無理しなくても!」
「わ、笑わないでくれよ…!」
「ヒッヒッ、ゴメン。いやぁ、あまりにも君が可愛いからネ♪あぁ、うん!やっぱりボクは君がスキだ」
恥じる事もなく、容易く「好きだ」と言われ、リネスの顔が更に赤くなる。
相手は自分と同じ「男」なのに…。
…「男」なのに?否、「スマイル」だからこそ、だ。
嘘偽り無く、本当の気持ちを教えてくれる。
ああ、だから「彼女」はスマイルに惚れたのだ。
それなのに「彼女」は、ギリギリになるまで彼を信じられなくて…。
「………」
「…どしたの?リネス君」
うつ向いたまま何も喋ろうとしないリネスに、少し心配なのかスマイルはゆっくりと歩み寄る。
大分近付いた所で、彼は漸く口を開いた。
「スマイル…多分、戻った時言えないだろうから、僕が言うけど…」
「?」
「…『貴方を信じる事が出来なかった私を、どうか許して下さい』…」
「…え?ソレどう言う…!」
どう言う意味?と続く筈の文章が途中で途切れた。
ふわりとリネスの身体が浮かぶ。
次の瞬間には彼の姿は元の、女性の姿に戻った。
「リネス…ちゃん?」
「…ッ…スマ、イル…」
彼女は泣いていた。
相手を信じられ無かったのが悔しいのか、自分を認めてくれたのが嬉しいのか、何故泣いているのかはスマイルには分からない。
ただ、泣き止まぬ彼女を優しく抱き締めるしか出来なかった。「ネェ…ホントに良いノ?」
「…うん」
暫く泣き続け、漸く落ち着いたリネスは、スマイルの手を引いて公園の奥へと進んだ。
コンクリートで出来た人工の道を外れ、林のような場所へと入る。
街灯等の光は一切届かず、辺りを照らすのは月の灯りだけ。
適当に広さのあるスペースを見つけると、漸く彼女は若々しい草の上に腰を下ろした。
春の瑞々しい草は柔らかく、チクチクした感じは全く無い。
「では改めて、ヨロシクお願いシマス」
「ふふ、はい」
笑い合い、スマイルは彼女の前で膝を付いて座った。
心配は無くなった。もう迷いは無い。「…ふ、ぅ…んっ…」
最初はキスから始まり、胸、太ももへと手が滑り込む。
「…暖かくなって来たケド、全部脱ぐのはまだ寒いよネ?」
そう言って、彼はリネスのカーディガンを脱がせて彼女の後ろに、広げるように落とした。
横になった時に、彼女の髪に付かないようにと考えた彼の配慮だろう。
次にブラウスのボタンを外す。上から順番に外していくと、彼女の白い素肌が月明かりに照らさし出された。
「寒く無いカイ?」
「…大丈夫」
「良かった。……ブラ、捲るよ?」
言うが早いか、スマイルはリネスのブラを持ち上げるように捲った。
お世話にも豊かとは言えないが、形の良い胸が露になる。ベースを弾くスマイルの大きな手では、簡単に収まってしまうだろう。
「ヒヒッ、可愛いネ♪」
「…あまり見ないで…恥ずかしいわ…」
ふぃ、と顔を反らす仕草すら可愛らしい。
スマイルはリネスの胸に顔を近付けると、ペロリと尖端を舐め上げた。
「ゃ…んッ…!」
じわり、と波紋のように快感が広がる。もう片方の胸も指先で軽く弾かれ、ピクリと肩が跳ねた。
スマイルの体重が少しリネスに押し掛るようになり、彼女は後ろに手を付き、どうにかして座位を保とうとした。
「…は…ぁ、う…!」
「ン〜、感度は良好みたいだネ。こっちの方は…」
「…ッ!ゃッ!」
スマイルの手がショーツに移動する。
そこは下着の上からでも分かる程に潤っていて、少し指を押しただけでも染み出た液で指が濡れそうな程だった。
「こっちも凄いネ。そんなに胸が良いんダ?」
「ッ……」
「でも胸だけじゃなくて、コッチも相手してあげなきゃカワイソウだよね?」
そう言って、スマイルはリネスの割れ目に沿って、四本の指で軽く引っ掻き始めた。
「やぁッ!あん…ッ!ソコ…は、はぁっ!」
下着越し大陰唇、小陰唇、陰核をまんべんなく刺激され、リネスの口から甘い声が溢れ出した。
「…気持ちイイでしょ?どんどん濡れてくるヨ…」
低く甘い声で囁き彼は手の動きを止めずに再び胸を舌がで転がし始めた。それから何分経っただろうか。
「はあ…ぁッ…スマ、イル…!わ、私…もぅ…!」
「…ガマン出来ない?」
コクリと、控え目に頷く。
長い愛撫の所為か、彼女の肌はほんのり桜色に色付いていた。
「ヒヒッ、分かった。じゃあさ、横になって…」
漸く座位から解放され、リネスはドサリとその場に寝そべる。
身体を支えていた腕は、疲れと痺れで少し悲鳴を上げていた。
「……脱がすよ?」
「………」
沈黙を了解と受け取り、スマイルはゆっくりとショーツを下ろした。
「…やっぱり、ビショビショだね♪」
「ばか…」
ショーツの中は、スマイルの予想通り、透明な液体でじっとりと濡れていた。
彼は愛液を充分に指に絡めるとゆっくりとリネス中に侵入した。
「ッ…あ…!」
「…ん?アレ?」
指で中の様子を探り、その狭さにスマイルは一つの真実に気付く。
「リネスちゃん…もしかして処女?」
「……、…」
リネスの顔が、少し泣きそうに歪む。
恐らく、彼女の体質を知って尚抱こうとした者は誰一人として居なかったのだろう。
だから、自分の体質を知られれのが怖かったのか、と今更ながら理解する。
「ヒヒッ♪ボクってホントにラッキー♪だってリネスちゃんの初めてを貰えちゃうんだもんね〜♪」
なるべく相手を傷付けないように言いながら、彼は指を動かし出す。
リネスの膣口は、処女であるにも関わらず、肝心な処女膜が見付からない。
恐らく、100年も生きている内に自然に破瓜してしまったのだろう。
しかし、それは言い換えれば挿入時に痛みが少ないと言う事だ、とスマイルは考えた。
「ぅ、やぁんッ…!は、あぅっ!」
膣の内側と陰核を同時に優しく撫でる。
くっ、と包皮の上から押さえると、指を咥えたままの膣口は小さく何度も震えた。
「リネスちゃん…わかるかい?ボクの指をヒクヒク咥えて…凄い美味しそうにしゃぶってる…」
「…や、だぁ…言わないでよぉ…」
羞恥心からか、リネスは両手で顔を隠す。
ちょっと恥ずかし過ぎたかな、と、スマイルは内心反省しながら膣内を這わせる指の数を増やした。
二本…、三本……
やがて、大分解れて大きく広がるようになり、スマイルはゆっくり指を抜いた。
「……スマイル…?」
ジジ…とファスナーが下ろされる音が響く。
取り出されたスマイルの怒張は、へそに付きそうなぐらい反り返り、その欲求不満を主張していた。
「良いかい?ボクのコレが、君のココに入るんだよ?」
「……ッ!」
グリ、とスマイルのモノが彼女の入り口に押し当てられる。
頭では理解していたとは言え、実際にその時が近付くと恐怖が勝ってしまう。
「ホラホラ、怖くないカラ、ネ?」
緊張する彼女を落ち着かせる様にキスを降らせる。
「…て…ぃい…?」
「え?」
「…信じて、良い…?本当に、怖くないって…私を離さないって…」
本人ですら聞こえるか聞こえないかの小さな問いかけ。
その問いに、スマイルは自信たっぷりに言った。
「大丈夫!ボクを信じてイイヨ!」
「…じゃあ、来て。スマイル」
短い頷きの後、スマイルはゆっくりと彼女の中に入って行った。
「ぅッ…やあぁッ!あぁ!」
「ッ…きっつー…」
充分に慣らしたとは言え、彼女の処女特有の締め付けにスマイルは顔を顰める。
それでもゆっくりと、焦れるぐらいゆっくりと自身を進めて行き、とうとう彼の尖端はリネスの最奥へと到達した。
「…、…リネスちゃん…全部、入ったヨ」
「…うん…うんッ!」
瞳に涙を湛えながら、彼女は何度も頷く。
諦めたのは何時からだろう?自分にはこう言う風に誰かと繋がる事は無縁だと思っていた。
皆逃げて行った。皆気味悪がった。悪口を言われるのは男の自分だが、傷付くのは決まって女の自分だった。
だけど…今自分の目の前には、自分を気味悪がる所か、秘密を知って尚も好きと言ってくれる人がいる。
それが、嬉しくて嬉しくて堪らない。
「痛くないカイ?」
「ん、大丈夫」
「…動くけど…辛かったら言ってネ」
「…お願い…」
ゆっくり、スマイルは腰を前後に揺らす。
未開発の性器では快感はあまり感じない。しかし、それを補って余る程の幸福感でリネスは満たされていた。
徐々に律動が激しくなる。
スマイルはこんな自分でも必死に求めてくれる。そう感じられて嬉しく、嬉しくて泣いた。「ぁ、あぁッ!…スマ、ィル…!」
「はっ…ッ…リネス、ちゃん…!」
「も、と…!ぁんッ!…もっとぉ!!」
「リネスちゃ、…!…リネス…リネス!」「っッ…はあッ…はぁ…!」
「…ふっ…ぁ、はぁ…」
結局スマイルは、リネスが要求するがままに何度も彼女の中で果てた。
二人共、荒い息を吐いて重なりながら唇を貪る。
「…ねぇ…私のナカって、どうだった?」
「ン?そうだねぇ、熱くてトロトロしてて…最高だったヨ」
こんな時だって、スマイルの言葉に嘘がない。
それがちょっと照れくさいけど、好き。
「でも…ボクばっかりイっちゃってて…それがなんか申し訳無かったヨ」
「あら、それは仕方ないわ。それに私、貴方と繋がっただけで充分嬉しかった」
にこ、と柔らかく微笑む彼女にスマイルは苦笑いを浮かべる。
そして、直ぐに何か閃いた顔をすると、ゆっくりとリネスから身を離した。
「スマイル?」
「やっぱりサ、折角感度良いのにイカないって、勿体無いと思うんだよネ!ダカラ…」
「ぇ?スマィ…、ひぅッ!?」
突然スマイルはリネスの股間に顔を埋めたかと思うと、まだ興奮覚め止まぬと言った感じにプックリと膨れた肉芽を舐め上げた。
「やッ、あん…!そ、な所…舐めないで…!」
「でも気持ちイイでしょ?良いから気持ち良い事だけ集中シテ……」
「はぁッ…くうぅッ!」
舌先でクリクリと肉芽を撫でられる。
ビリビリとした電気のような刺激は、リネスの下半身を甘く痺れさした。
此処まで強い快感は、今まで感じた事が無い。
「ぁ、くッ!は…す、まいる…何か…ぅ…何か変…!気持ち、良ぃ…のが、集まって…!」
「イキそう?」
「わか、ないッ…ひぁッ!ぁあッ!来る!何か…来る!これが「イク」なの!?ぁ、はあッ!も…駄目…ぁッ、くあぁあッ!!!」
ビクリと背を反らせ、彼女は初めて女の身体で絶頂を迎えた。ピンポーン
夜中に響いたチャイムに、部屋の住人は若干眠い目を擦ってドアを開けた。
「誰ですか?こんな夜更けに…ってうわぁ!スマイルさん!?」
「コンバンハ〜♪ミストさん」
突然の訪問者は、夜中なので声のテンションを低めに挨拶する。
「スマイルさん、こんな夜中に何の……あれ?リネス!?」
ミストはスマイルに背負われている人物に気付き彼女に声を掛けた。
しかし、リネスはその目を閉じたままピクリとも反応しない。
「……寝てる?」
「ヒヒッ、ちょっと疲れちゃったみたいだから連れて帰って来た♪あ、上がって良い?」
「あ、ベッドになら私が運びますよ。スマイルさんも仕事帰りで疲れてるだろうし…」
「いや、ベッドより先にシャワー借りて良い?あと着替えとボクを泊める部屋も」
「は?…ぇえ!?」
いきなり申し付けられた注文に、ミストはただ目を白黒させるばかりである。
「ダメかい?」
「いや、駄目ではないですけど、スマイルさん帰らなくて大丈夫なんですか?明日も仕事あるでしょうに…」
「明日仕事ヒルから。それに約束したんだよね〜、「離さない」って。じゃあシャワー失礼するヨ〜♪」
「あ、ちょ、ちょっと!」
バタンと脱衣所のドアが閉められ、後に残ったのはミストただ一人。
一体彼等に何があったのか。
ただ一つ確かなのは、スマイルの背中で眠るリネスは、とても幸せそうな顔をしていたと言う事だけだった。〜fin〜
〜 あ と が き 〜スマイルとリネスの話。
身体的に問題のあるリネスを、スマイルは心の底から愛しているのです。
余談ですが、これを書いて愛方に送ったら大絶賛喰らいましたwww
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